レシピ&エッセイの白井操クッキングスタジオ

料理研究家・白井操の神戸発レシピやエッセイがたっぷり!料理講習会のイベントや主な著書なども掲載中。男の料理や食育、シルバーカレッジ情報も発信中。

西宮阪急「食のミニセミナー」

セミナーレポート 2018.12.7 白井さんの料理講習会

2018/12/25 New

今年最後の食のミニセミナーはお客様からリクエストが多い白井の料理講習会。何かと人が集まることが多い年末年始に活躍しそうなレシピ5つをご紹介・・・。
まずは「海鮮揚げ団子と春菊の鍋」。揚げ団子はおつまみで食べても、あったかいお鍋にしても、応用の効く一品です。「生臭さが残るサゴシの血合いと骨は除き、小ぶりに切ります。エビも皮をむいて背ワタをとり塩と酒で下味をつけて小ぶりに切ります。れんこんの水分が多い時は水分だけをスープやカレーのとろみ付けに使っても。揚げ団子をそのまま食べる時は、れんこんを少し刻んで加えるとシャキシャキ食感を楽しめます。タネはスプーン2つでお団子に丸めて170℃ぐらいの油で揚げます。やっぱり揚げたてはおいしい。でも菊菜とのお鍋も最高」。こちらは試食をご用意。

「れんこんのきんぴら」は白井の最近のヒット作。「れんこんをまず縦に切って、太さを半分くらいにしてから、鉛筆を削るように、分厚いところと薄いところをあえて作ってフライパンでじわーっと焼いていきます。酒とだしを加えて蓋をして、ねちっとした食感になったら薄口醤油と塩をほんの少し加えて火を止めます。れんこんを食べるという感じのきんぴらに。粉山椒や一味をふっても。フライパンで焼くだけでおいしい野菜は他にもたくさん。カブやきのこはもちろん、湯がいた海老芋を焼いて味噌をつけると絶品。高いけどおいしいですね。里芋との違いを楽しんで。九条ネギや根深のネギは少しだけレンジにかけて焼くと甘さが引き立ちます。熟して柔らかくなった柿はお宝。スプーンで少しすくって味噌や醤油、ゴマなどを加えて焼き野菜のたれに。焼肉のたれを合わせても。自然の甘味ってすごいなって思われるはず」。

「これをやっておくと本当に助かる」と白井が紹介したのは「魚のうまみ漬け」。新鮮な魚を一口大の薄切りにして酒大さじ3、塩小さじ1/2を合わせたものにくぐらせたら、だし昆布の両面に並べ、ジッパー付きの袋に入れて冷蔵庫へ。2日後も塩を足して合わせ酢に浸し、春菊のだし浸しなどと合わせ、柚子をあしらうと季節の一品に。「トマトとカラフルなミニトマトを細かく切って、うまみ漬けした魚を合わせ酢ごと合わせて、オリーブオイルで加えてマリネに。緑の野菜やレンジでチンしたマッシュルームなどを足し、塩加減を確かめて。袋に穴があかないように昆布は角を切っておくと安心。スズキや鯛、ハマチやシマアジの切り身でもうまみ漬けで3日程はいい匂いがしていたらOK。焼いてもおいしいです。この方法は鶏肉でも使えますよ」
「いかのほろ酔い漬け」は新鮮なイカの皮をむき、塩を溶いた酒にくぐらせた酒粕漬け。「レンジで柔らかくした酒粕に白味噌、みりん、砂糖を加えて酒粕床は、魚とかタコとか、色んなものを漬けて楽しんで。粕床そのものもおいしいです」。
華やかな「カクテル卵」。「クリスマスには細長いお皿や緑や赤の食器に。お正月ならガラスの容器に南天や椿の葉を添えて。手間はかかるのに食べるのは一口、でもまた来年も作ってねというお正月が来るはず・・・。クリスマスの10日ぐらい前からミニトマトとブロッコリーなど赤と緑のクリスマスカラーをやめておくと、クリスマスの食卓が新鮮に」。お客様も「へぇ~っ」と感心のご様子。

師走を忘れる和やかなひとときに「癒されました」のお言葉がアンケートはたくさん。皆さま、どうぞよいお年を。(文:土田)
*「魚のうまみ漬けを酢じめに」「れんこんのシャキシャキもっちりきんぴら」のレシピはこちらでご紹介しています。
NHKラジオ「かんさい土曜ほっとタイム」HP「白井操のよろしゅうおあがり」>

セミナーレポート 2018.11.30 小西酒造株式会社 代表取締役社長 小西新太郎さん

2018/12/13 

西宮阪急10周年を祝う鏡開きに使われた清酒白雪の酒樽。今回はその蔵元小西酒造株式会社代表取締役社長 小西新太郎さんをゲストにお迎えしました。「阪急さんとのご縁は小林一三さんの鉄道事業に私の祖父が協力したことに始まります」以来、八坂神社の積み樽やタカラジェンヌの鏡開きなども白雪が使われているそう。

清酒発祥の地として知られる伊丹で1550年に創業され468年の伝統を誇ります。「江戸時代からの酒造りのレシピは古文書として全部残っています。1702年赤穂浪士の頃の酒を再現した『白雪江戸元禄の酒の熟成古酒』がブリュッセル国際コンクールの日本酒・熟成古酒部門でプラチナに選ばれました。チーズに合うと外国人審査員に支持されたそうです」。技術者とともに古文書を読み解く勉強会に参加され復活した家伝のレシピは、精米歩合88%、汲水歩合は今の半分のまったりとした味わい。「座右の銘は『不易流行』。変えないもの『不易』がこの『江戸元禄の酒』、時代に合わせて変えるもの『流行』は、香りを楽しみ、飲みやすく仕上げた『吟醸ひやしぼり』のような商品。伝統を守りながら、時代に合わせて変えるべきところは変える。常にそうありたいと思っています」。

試飲は4年連続「ワイングラスでおいしい日本酒アワード」で金賞受賞の「吟醸ひやしぼり」と「大吟醸生原酒」を。「飲み口が少し広がったこの試飲容器もいいですね。地元の酒器・酒盃台展も応援されています」と白井。「私は酒の味わいは酒器で変わると思います。盃に口を寄せて飲むと舌の上でふわっと広がる。グラスを傾けて喉に流し込むとそれがないんです。特に燗酒にはこれが大切。火鉢やストーブとともに燗酒も消えつつあるのが残念。座敷では上から手に取るので盃は使いよく、カウンターでは横から酒器を取るので酒盃台が機能的です。燗酒や、酒器や酒盃台を選ぶところから楽しみが始まる日本の酒文化の豊かさと伝統的な陶磁器の良さを今の人に伝えたいですね」「小さめの盃で少しずつ味わうのが日本人の体質にはよく合うのかも知れませんね」。
蔵元として日本酒を含む世界四大醸造酒であるビール、ワイン、紹興酒にも深い関心を寄せておられ、30年前からベルギービールの輸入、24年前には清酒酵母を使ったビールづくりを開始。10年前からは広島でワイン作りも手掛けておられます。そんな醸造酒を料理とともに楽しむことができる、古い酒蔵を改造したレストラン「白雪ブルワリービレッジ長寿蔵」は毎日お客様でにぎわいます。「紹興酒も作りたかったのですが、菌がすごく強くて日本酒が作れなくなると技術者に言われ断念しました」と笑顔で。
今日の試食は「剣先いかのほろ酔い漬け」。「塩と酒にくぐらせた鮮度のよい剣先いかを、酒粕と白味噌の床に漬けました。おせちには少しあぶるといいかも。西宮阪急で一番よく売れているのが白雪の酒粕なんですって」。原料の米からこだわり、添加物を使わず、おかき職人が炭火で焼き上げた「京都祐喜」のおかき2種とともに。おかきは西宮阪急白井のおすすめコーナーでも販売しています。

胸元のカラフルなバッジについて聞かれると「これはSDGs(Sustainable Development Goals)といって企業人が持続可能な開発目標をめざす取り組みのシンボルです。私たちを支えてくださる地域への貢献や環境への配慮を大切にしてこそ長く会社は続けられると思っています。精米の時にでる米粉も、酒粕も捨てるものはひとつもありません」。

長く日本の食文化を担う蔵元としての思いやその造詣を優しい言葉でお話くださった小西社長。米作を担う農家が軽視されている世情を憂い、子供たちがおいしいお米を食べられるようみんなで農業を大切にする努力を、と私たちに語り掛けるメッセージから未来への思いも伝わってきました。                 (文:土田)

セミナーレポート 2018.11.9 兵庫県立芸術文化センター 副館長藤村順一さん、楽団部プロデューサー 横守稔久さん、事業部制作担当課副課長 宮地俊江さん

2018/11/15 

この11月で西宮阪急は10周年。西宮ガーデンズとともに西宮北口を「住みたい街NO.1」に押上げた兵庫県立芸術文化センターの魅力を伝える3名の方にお越しいただきました。

「ウチは館長の井戸知事と、芸術監督の佐渡裕の2枚看板。佐渡はどこへ行っても、地元の方と一緒に劇場を立上げ、オーケストラをやっていることを誇りに思うと話しています。」と副館長の藤村順一さん。紹介されたのは楽団部プロデューサーの横守稔久さんと、オペラと事業全体の制作担当の宮地俊江さん。

「劇場がオーケストラを持っているというのは国内では非常にめずらしいんです」と横守さん。兵庫芸術文化センター管弦楽団はプロのオーケストラですが、入団資格は35歳まで、在籍期間は3年と若手育成が目的。世界中から集まった優秀な団員は平均年齢20代後半。ここでの学びを糧に次のステップに進まれるそう。「発足して13年、卒団メンバーは国内のみならず世界で活躍しています。活動が始まる9月のオープニングフェスティバルでは兵庫県の各地に出向き、土地の人や風土に触れ、おいしいものを食べ、兵庫の良さを知ってもらいます。年間、定期演奏会は9事業27公演の他、名曲コンサートなど様々な企画公演、県内の中1生を対象にした『わくわくオーケストラ教室』も40公演。年間約6万人の学生が鑑賞する計算に。加えて佐渡芸術監督プロデュースのオペラと充実した日々を送ります」。

一方スーパーキッズオーケストラは教育の一環として小学生から高校生が対象。新メンバーオーディションは毎年約10倍の狭き門。「現在は約35名。弦楽器のみの構成です。人気の成果発表公演の他、11日にもこちらで演奏させていただくのですが出演依頼やテレビにひっぱりだこの状況です。09年の佐用町の大水害を機に始めた被災地の方に音楽を届ける『こころのビタミンプロジェクト』は現在、東北、熊本、和歌山へと活動を広げています」。被災地の方と一緒に演奏する佐渡さんや子供たちの笑顔、津波の犠牲者が眠る海に向けて鎮魂の思いを込め懸命に演奏する子供たちの映像が流れ、胸打たれます。「どの被災地も復興までは道半ば、この活動はこれからも続けます」と横守さんはその志しを。

宮地さんは「佐渡オペラ」として愛される、佐渡裕芸術監督プロデュースのオペラの話題を。「演目・出演者・演出の方向性までプロデュースするのはものすごく手間のかかる作業。オペラの楽しさをすべての人に届けたいという佐渡裕の情熱が伝わります。国内だけでなくメトロポリタン歌劇場や英国ロイヤルオペラ、バイエルン国立歌劇場などで活躍する世界最高峰の歌手を招き、キャスト、スタッフ共に世界の一流を目指し、1か月前には西宮に集まって稽古の時間をたっぷりとって作るオペラが面白くない訳ないですよね」。音楽、ドラマ、美術とオペラには引き出しがたくさんあると宮地さん。「今年は『魔弾の射手』去年は『フィガロの結婚』と名作を。来年は『オン・ザ・タウン』。作曲者バーンスタインの愛弟子である佐渡が手掛ける音楽とドラマが融合したチャレンジングな作品になりそうです。このクオリティーでチケット12000円は破格です。しかも8回公演。これには東京の方も驚かれるほど。夏の風物詩となったオペラの前夜祭は地域の方と溶け込む素顔の佐渡が垣間見える素敵な時間です。大みそかの『ジルヴェスター・ミュージカルコンサート』を皮切りに、来年7月のオペラに向けて催されるプレ企画からぜひ楽しんでください」と、笑顔で。
芸術の秋、身近にこんな素敵な劇場がある幸せを改めて感じたひとときでした。

試食は「肉工房松本秋義」の「まっくろ煮豚」に春菊を添えて。      (文:土田)

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