レシピ&エッセイの白井操クッキングスタジオ

料理研究家・白井操の神戸発レシピやエッセイがたっぷり!料理講習会のイベントや主な著書なども掲載中。男の料理や食育、シルバーカレッジ情報も発信中。

操の「へぇ~!」な雑学

第14話 キンカチャ(金花茶)

「ムッシュ・フルーリの花探検 in フラワーセンター」
吾輩、ムッシュ・フルーリは、実は、 何を隠そう兵庫県立フラワーセンターという植物園の園長なんだ! 今回からは、我がフラワーセンターが誇る4,500種類にも及ぶ膨大な植物コレクションの中から、 その季節ごとに咲くとっておきの一品を紹介していくぞ!  栽培が難しくて国内では滅多に見ることのできない花、 形が奇妙で花らしくない花、普段何気なく目にしているけど、実はこんな変わった性質がある花、 そして世界中でフラワーセンターでしか見ることのできない植物などなど、次々と興味深い花たちを紹介していくから、楽しみにな!

【参加募集中】ムッシュ・フルーリと冬の花探検!
加西市にある兵庫県立フラワーセンターでは、ムッシュ・フルーリ園長の植物セミナーが毎月開催されています。思わず「へぇ~!」と言ってしまう、とっておきの話題がいっぱい。
フラワーセンターのお花とムッシュフルーリに会いに行きませんか。
(参加の皆様には会場で操さんのレシピプレゼントもありますよ。)
『ムッシュ・フルーリの「へぇ~!」な雑学』開催日程
2/22(土)、3/21(土)
(すべて13:30~。ご参加には予約が必要です。)
●「予約・お問い合わせは
TEL:0790-47-1182(兵庫県立フラワーセンター)

第14話 キンカチャ(金花茶)

今年の冬は異常に暖かくて、この原稿を書いている1月23日現在でも、フラワーセンターの最低気温が氷点下になっていないんだよ。フラワーセンターのある兵庫県加西市は、内陸型気候なので、冬場は結構冷え込みがきつくて、去年の冬は-8℃まで下がったくらいなんだ。でもこの冬はいまだに0℃止まりで、日中も春のような陽気が続いているので、花壇のビオラや菜の花、ストックはもうすでに満開状態。

もちろん温室内は冬中百花繚乱なんだけど、今回はそんな中でもフラワーホールの片隅に人知れず咲いている「キンカチャ」を紹介しようかな。ところで、みんなは「キンカチャ」という名前は聞いたことがあるかい? 「キンカチャ」とは「金花茶」という字を書いて、「金色の花が咲くお茶の木」と言いたいところじゃが、これは中国名をそのまま我が国に持ってきているので、「黄金色の花が咲く椿」という意味の名前なんだな。中国ではツバキを「山茶」と書き、ツバキの仲間の名前はほとんど○○茶と名付けられているんだ。因みに、中国で椿という字はチャンチンという樹木のことを指しているので、間違わないようにな。

フラワーホールに植栽されているキンカチャとオオバキンカチャ

日本のツバキと言えば、もちろん真っ赤な花の咲く「ヤブツバキ」で、北海道を除く至る所の山々で見られるよな。江戸時代には、椿の園芸品種が数多く作出されて、大名から庶民に至るまで、一大ブームを起こしたんだってさ。でも、花色は赤、白それにピンクのみで、もちろん黄色いツバキはなかったよな。
 キンカチャ

ツバキの仲間は、アジアの東南部に250種類ほど自生していて、中国南部を中心に、西はネパール、南はインドネシアの島々、そして北は日本の青森県までの範囲に分布しているんだぞ。そのうち、日本には、ヤブツバキ、ユキツバキ、それにサザンカのたった3種類しか自生してないんだ。

1965年に、中国南部の広西荘族自治区の南寧市近郊で発見された「キンカチャ」が世界的に報告されたんだけど、当時の中国は外国人による調査はもちろんのこと、観光旅行さえも認められていなかったので、実際に我々日本人が黄色いツバキを目にしたのは、それから14年もあとの1979年以降だったんだな。それ以降、中国の南部やベトナムから次々と黄色いツバキが報告されて、今では黄色い花をつけるツバキは、中国とベトナムを合わせて50種類も報告されているんだ。
 オオバキンカチャ

さて、その「キンカチャ」は、黄色い花をつけるツバキの中でも、光沢のある濃い黄色の花をつけて観賞価値の高いことから、黄花ツバキの育種親として利用されるのは、もっぱらこの「キンカチャ」なんだ。
「キンカチャ」を使った黄花ツバキの育種が始められてから、もうかれこれ40年ほどが経ち、すでに30種類以上の品種が育成されているんだけど、どれを取ってみても薄い黄色やクリーム色の域を出ず、真の黄色い花びらを持った黄花ツバキは育成できていなんだ。みんなが夢見る黄色い椿の出現にはまだしばらく時間がかかりそうだな。

黄花つばき「かぎろい」(クリーム色の花)
※フラワーセンターには植栽されていません

操の「へぇ~!」
キンカチャ、かわいい花ですね。初めて見ました。黄色い椿ってめずらしいですね。
梅でいう蝋梅に近い感じなのかな。そういえば「満月蝋梅」ってひょろっとした苗木が1万円という高値で売られていてびっくりしたことを思いだしました。
椿の世界もすごいですね。ヨーロッパの大きな八重の椿、カメリアはなんともゴージャス。京都の薬草園でお寺から預かっているというすばらしい老木の椿を見せていただいたこともありました。私が好きな椿は侘助。小ぶりのうす~いピンクの花が好きなんです。

「キンカチャ(金花茶)」を見に行こう!
兵庫県立フラワーセンターHPはこちら>

ムッシュ・フルーリは白井にとって緑の知恵袋のような存在。バックナンバー「ムッシュ・フルーリ緑の扉」にも植物の知りたいコトが満載です。

第13話 ベゴニア

【参加募集中】ムッシュ・フルーリと冬の花探検!
加西市にある兵庫県立フラワーセンターでは、ムッシュ・フルーリ園長の植物セミナーが毎月開催されています。思わず「へぇ~!」と言ってしまう、とっておきの話題がいっぱい。
フラワーセンターのお花とムッシュフルーリに会いに行きませんか。
(参加の皆様には会場で操さんのレシピプレゼントもありますよ。)
『ムッシュ・フルーリの「へぇ~!」な雑学』開催日程
1/11(土)、2/22(土)、3/21(土)
(すべて13:30~。ご参加には予約が必要です。)
●予約・お問い合わせは
TEL:0790-47-1182(兵庫県立フラワーセンター)
●1月2日~4日はお正月特別開園いたします!

第13話 ベゴニア

早いもので、年が明けて令和も2年。昨年の令和元年は、大きな災害が全国で発生して大変な年だったけど、今年は平穏な年になってほしいね。

さて、令和2年の初っ端は、フラワーセンターの数多いコレクションの中から、ベゴニアに焦点を当ててみよう! ベゴニアって花はみんなもよく知っているだろうが、一口にベゴニアと言っても、世界中の熱帯~亜熱帯を中心に約2,000種類もの野生種があるもんだから、その形態や性質も様々なんだよね。ただし共通する特徴もあり、葉の形が左右非対称で、ゆがんだ形をしていること。そして、花は雄花と雌花があり、雄花は4枚、雌花は5枚の花弁を持っていることなんだ。まあ、自然界のことだから、一部例外もあるけどね。
そこで、園芸上は形態と性質の似たもの同士を集めて、以下の4つのグループに分けて扱っているんだ。

<木立ち性ベゴニア>
夏の花壇の主役として、みんなもよく知っているベゴニア・センパフローレンスを代表とする茎が立ち上がるタイプのベゴニアで、その形態から、叢生型、矢竹型、多肉茎型,つる型に分けらているんだ。センパフローレンスは叢生型だけど、その次によく栽培されているのは矢竹型だね。この矢竹型は、細い竹のような茎を伸ばして人の背丈ほどにもなるけど、大きな花房をたくさんつけるので、結構観賞価値があるんだな。みんなも作ったことがあるよな。
 ベゴニア・センパフローレンス(叢生型)

木立性ベゴニア(矢竹型)         木立性ベゴニア(矢竹型)の花房

<根茎性ベゴニア>
太短い茎が地表面に横たわっていて、主に葉の美しさを観賞するグループで、レックス・ベゴニアと呼ばれる品種群が有名だよね。みんなも聞いたことがあるだろう? このタイプは日当たりを好まないので、明るい室内で栽培できるんだ。だから、レックス・ベゴニアは室内用の観葉植物として重宝するので、非常にたくさんの品種があるぞ。
  根茎性ベゴニア(レックス)3種

<球根性ベゴニア>
ベゴニアの中で最も豪華で美しい花をつけるのがこのタイプで、球根ベゴニアとも呼んでいるよな。このグループは、南米のアンデスの熱帯の高山地域に自生する球根を持つ数種類のベゴニアを交配して作出された品種群で、寒さにも暑さに弱いため、冷暖房完備の温室がないと栽培が難しいんだな。でもその花を一度見たらとてもベゴニアとは思えないほどの豪華さなので、誰しも一度は栽培してみたいと思うんだけど、栽培環境を整えるのに苦労するよな。フラワーセンターでは、オープン当初から球根ベゴニアを栽培していて、「球根ベゴニア室」では年中その豪華で美しい花をたっぷりみられるぞ。

上記以外の栽培品種として、エラチオール・ベゴニア、クリスマス・ベゴニアなど、冬の鉢物として出回っているけど、寒さに弱くて日当たりを好むので、室内ではすぐにダメになってしまうよな。これら以外にも、どのグループにも属さないような変わったものがあるけど、滅多にお目にかかることもないので、これくらいにしておこうか。

エラチオール・ベゴニア          クリスマス・ベゴニア

ところで、ベゴニアの中で暑さ寒さに強くて栽培しやすく、屋外に植えることのできる種類があるのを知っているかい?  おっ、やっぱり知っている人がいたなぁ。そう、シュウカイドウっていう植物だな。どうだい、聞いたことがあるだろう? 漢字で書くと「秋海棠」これは地下に小さな球根を作る多年草で、花も葉もベゴニアの特徴を持っていて、秋には茶花にもなるような、いかにも日本的な花を咲かせるんだ。 放っておいても毎年花が咲くので、庭の片隅にでも植えておけばいいと思うよ。ただし日の当たり過ぎと乾燥には注意するようにな。半日陰とやや湿っぽいのが好きな花だからな。
時々、野生化しているのも見るけど、これはずいぶん古くに中国からやってきた植物なんだぞ。なんか昔から日本にいるような顔をしているけどな。
多様なベゴニアを見たくなったら、フラワーセンターに見に来るんだぞ。

シュウカイドウの群落          シュウカイドウ

 操の「へぇ~!」
フルーリおじさん!フラワーセンターってすごいね。「へぇ~!」というお宝がたくさんあってびっくりです。古い話だけど今から40年前くらい前、六甲山のホテルで夏の間いろんな球根ベゴニアや背の高いベゴニア(木立性ベゴニアっていうのね)が本当に見事でしたよ。大勢の人が感動して見ていたことを思い出しました。シュウカイドウはやっぱりベゴニアの仲間だったんですね。名前もそーっと凛と咲く姿も素敵です。
生け花にするときは太めの曲がるストローに挿すと短い枝のベゴニアも楽しく生けられますよ。

「ベゴニア」を見に行こう!
兵庫県立フラワーセンターHPはこちら>

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第12話 ハボタン(葉牡丹)

【参加募集中】ムッシュ・フルーリと冬の花探検!
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フラワーセンターのお花とムッシュフルーリに会いに行きませんか。
(参加の皆様には会場で操さんのレシピプレゼントもありますよ。)
『ムッシュ・フルーリの「へぇ~!」な雑学』開催日程
12/14(土)、1/11(土)、2/22(土)
(すべて13:30~。ご参加には予約が必要です。)
●予約・お問い合わせは
TEL:0790-47-1182(兵庫県立フラワーセンター)
●1月2日~4日はお正月特別開園いたします!

第12話 ハボタン
早いもので、もう今年も師走がやってきたなぁ。12月や年末の花と言えば、シクラメンやポインセチアを思い浮かべる人も多いだろうが、日本人ならやっぱり馴染みの深い葉牡丹じゃろう!?
 ミニ葉ボタンんの装飾事例

ということで、今月はハボタンに焦点を当ててみようかの。みんなは、ハボタンがキャベツの仲間ってことぐらいは、知っとるじゃろうな。ハボタンは、まぁ、結球しないキャベツって思ったらよいかの。鎌倉時代の中頃に、キャベツの野生種に近いケールという野菜が渡来したらしいんじゃが、とても当時の日本人の口には合わなかったようでな(まぁ、今でもケールは青臭くてそのままでは食べにくいわなぁ)。ところがじゃ、江戸時代も中頃になって日本中が園芸ブームに沸いていたころに、オランダから改めてケールが野菜として入ってきたんじゃが、その際に園芸植物の仲間入りをしたんじゃな。しかも、野菜ではなく、観賞用の草花として脚光を浴びたんじゃ。当時は、草物の斑入りや葉変わりなどが珍重されていて、ケールの持つ赤紫色の色素と葉緑素が抜けて白くなる性質を利用して改良され、紅白の葉物として好まれたらしいんじゃ。当時はケールの性質が強くて葉が楕円形をしていたようじゃが、次第に改良されて今のような丸い大きな葉となっていったんじゃな。その江戸時代の直系の子孫が、今、東京丸葉系と呼ばれているグループなんだぞ。
東京丸葉系
ちなみに、世界広しといえど、ケールを観賞用の園芸植物に改良したのはわが日本人だけなんだぞ。江戸時代の人はすごいよなぁ。野生のケールから改良された野菜には、代表的なキャベツはもちろんのこと、ブロッコリーやカリフラワー、コールラビなんかがあるのは、みんなもよく知ってるとおりじゃな。日本生まれの観賞用のケールであるハボタンは、今では冬の花壇材料として、世界中で栽培されているんじゃ。
 名古屋縮緬系
 大阪丸葉系

現在のハボタンの園芸品種は非常に多様化していて、以前は、東京丸葉系、名古屋縮緬系、それに大阪丸葉系の3つのグループしかなかったんだけど、1980年代ごろから、葉が縮れて深い切れ込みの入る「くじゃく」や「さんご」、「かんざし」などが育成され、また茎が長く伸びて切り花向きの高性種なども作り出されたんだ。
 さんご系
さらに最近は、お正月の門松に入れるような大きな株ではなく、直径が10センチ程度のミニハボタンが寄せ植えに使われるようになり、それに伴ってさらに品種が多様化してきたんだな。ハボタンの特徴である白い粉を吹いたような葉ではなく、てかてかと艶のあるものや非常に細かく切れ込みの入ったもの、さらに黒に近い色やごく薄いピンクから鮮やかな濃いピンクなど、色彩の面でもすごくバラエティ豊かになっているんだぞ。
 ミニ葉ボタン照り葉
 黒色丸葉系

 濃色切れ葉系

じつは、フラワーセンターのある加西市を含む北播磨地域は、県内でも最もハボタンの生産が盛んなところで、生産者自らが育成したオリジナル品種も数多く生産されているんじゃ。そこで、この冬は、北播磨の生産者が育成したミニハボタンをフラワーセンターの冬花壇に植栽しているんだぞ。南ゲートを入ってすぐの花壇に植栽しているから、是非見に来るんじゃぞ。

操の「へぇ~!」
お正月の門松に欠かせない葉ボタン。今では色も葉も大きさもバリエーション豊かで、ガーデニングや生け花としてすっかり身近になりました。ケールから改良されて観賞用として進化をとげた今、美しい葉色そのままに、柔らかくおいしく改良されて、食用の葉ボタンができたらいいな。お正月のお重やお皿に咲くおいしい葉ボタンって素敵だと思いませんか?

「ハボタン」を見に行こう!
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