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花がそーっと伝えてくれること

20代の頃友人に頼まれて料理の仕事だけでなく活け花の講師もしていました。家元に通う母に高校生の頃から手ほどきを受け、同じことを何度も注意されました。「自分で好き勝手に活けてはいけません。お流儀の教えを守って繰り返しやってごらん、自然に咲いたままを。
花はうけたように…。」今もどこからか母の声がします。花を活ける楽しさは今も私に寄り添ってくれています。時代はかわり、花を教える人も習う人の姿も変わりました。たくさんの花材も姿の華奢な花が増えました。変わらないのは、花を活けて心がほっとすること。楽しくなること。

この気持ちを伝えたくて、料理教室のメンバーに花を買ってきて、容器の中に前日からオオアシスと水を用意しました。家族を亡くしたメンバーを思って、皆が気持ちをひとつにしました。いつもにぎやかなメンバーがこの時だけはハサミの音しかしませんでした。活けた花の写真をとり大切に持って帰り、みんな家でほっこり。その花が枯れたらあのハサミでまた新しく活けかえてくださいね。